「それももう、どうでもよくなっちゃったんだ」
って言われたとき、私、一瞬、静止したと思う。びっくりして。そしてはっきりわかったんだ。
子供たちと、家族で外国旅行!の夢があった。
行きたいのは、オーストラリアのケアンズ。
降りそそぐ太陽、大自然、美しい海。
コアラを抱っこして、動物園に行って、水族館で色とりどりの魚を見て。ラグーンの、透き通った浅い海で水遊び。小さい子供たちはどんなにはしゃぐだろう。スカイレールに乗って、キュランダ観光にも行くの。ウォンバット、カンガルー、ハリネズミ。
一生の宝物になる思い出。私たち家族の一大イベント。
繰り返し思い描いて、しょっちゅう話していたから、行ったことがあるみたいに詳しくなった。わくわくしながら、一緒に計画を練っていた・・・はず。二人の夢だったはずでした。
私は憧れすぎていたんだね。本気だったから、一瞬ぽかんとしちゃった。気持ちが、宙に浮いちゃった。
いろんなことがあったけど、それこそ散々だったけど、まだ同じ夢をみて、力を合わせていこうって気持ちがあればやり直せるって期待があったんだ。
もしかしたら、もう前から、調子を合わせてただけだったのかも。いつから?
離婚するまでには、もちろん、た~くさんのことがあった。たくさんの、がっかり、しょんぼり、悔し泣きとか。
これはそんなことの一つに過ぎないよ。たいしたことじゃ無い。
私は、ケアンズにしがみついていたんだね。
若い私は、それならもういい、と思ったの。あなたは来なくていい。私は私一人の力で子供たちと行くから、って。
そしてちょうどそんなふうに、私は私と子供たちで生きていくと決めて、ここまで来たんだわ。
ケアンズにはまだ行っていない。最近は、ちょっと忘れてた。
相変わらず、素敵なところだとは思う。いつか行くのかな。いや、今はケアンズでなくてもいいかな。